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リアルのゆくえ という名の世代間闘争

東浩紀氏と大塚英志氏との共著『リアルのゆくえ』を読んだ。

本の紹介ページにはこんな説明が。

ぼくたちは今どんな時代を生きているか。
批評の言葉は怒る若者たちに届くか。
サブカルチャーの諸問題から国家論、表現論まで、
わかりあうつもりのない2人による8年間の世代間闘争。

若手ではほとんど唯一、影響力のある思想家ともいえる東氏とサブカルケンカ番長大塚氏による、8年間にも及ぶ口喧嘩をまとめたアルバムといった内容。

自分も一度、大塚氏にはばっさりやられたけれど、年下の口答え(?)に対する猛犬ぶりはすさまじい。
しかし、一読者としてその暴走振りを読んでみると、若手を罵倒するのは氏の言語技術の一種なのかもしれない。

東氏の本は、デビュー作の「存在論的、郵便的」とか最近の「ゲーム的リアリズムの誕生」とか何冊か読んだけど、いまいち難解で半分よくわからないっちゅう感じ。
本人が著書での説明を省きがちなのは、出版言論を信じていないこととネット言論への希望と絶望から来ることが大塚氏の猛チャージのおかげで判明。
東氏の理論でよくわからなかった点が、逆ギレする形でわかりやすく説明されていたw
この対談本がそれなりに売れてるらしいのは、東氏の本を敬遠していた読者にもわかりやすく伝わったという側面もあるのかも。


しかし、共通点も多い東氏と大塚氏の口論が最後までかみあわなかったのは、公共という言葉の認識ギャップ以上に、出版言論に重きを置くか置かないかという世代間の温度差によるものが大きいのかなと。
表現や言論のリングを、昔ながらの紙媒体とみるかネットと位置づけるかの違いはけっこう大きい。
自分らの世代にとって、わざわざ客が少ない古いリングで体を張った戦いをみせるメリットを感じない。東氏より若い若手の批評家がほとんどいないのもそんな理由か。
ネットも活用する若手論客の東氏の主張を「閉じている」と攻め立てる大塚氏。
氏の本もけっこう好きで勉強になるのだけれど、ほとんど読者がいない国内出版論壇にしか届いていないという意味で、せっかくの主張が閉じてしまっているのは大塚氏の方のように思える。

あとがきで明かされた、大塚氏からの印刷2日前の大幅な削除要請もご愛敬。
いろんな意味でエキサイティングな1冊。

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