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仕事道楽 鈴木敏夫Pのお仕事

仕事道楽―スタジオジブリの現場 (岩波新書 新赤版 1143) Book 仕事道楽―スタジオジブリの現場 (岩波新書 新赤版 1143)

著者:鈴木 敏夫
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ジブリ映画の国民的映画化の仕掛け人、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが語り下ろした本『仕事道楽』を読む。

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この本で、鈴木Pの愛情あふれた視点から語られる4人の偉人たち(変人ともいえる)のエピソードが面白い。

映画監督宮崎駿と、彼が尊敬しライバル視した高畑勲。そして、鈴木Pが在籍していた徳間書店の元会長徳間康快とアニメージュ創刊時代の上司の合計4人。

鈴木Pについてはその仕掛けの大胆さ、キャッチコピーの秀逸さ等販促手法についての凄さが語られがちだけど、この4人の個性をうまくひきたてつつ、当事者間の微妙な関係バランスをほどよく保ちながら映画製作を継続させた点が凄いなと。

中でも、東映動画時代に労組の書記長と副委員長という間柄でもあった宮崎駿と高畑勲の長年の関係とそのエピソードの数々が面白かった。

特に、宮崎駿が「風の谷のナウシカ」を映画化する際に条件としてつけた、高畑勲をプロデューサーにして欲しいという願いが、高畑によってあっさり断られ、宮崎駿が飲み屋で日本酒をガブ飲みして泣くシーンがほほえましい。

鈴木Pの前で彼は涙ながらにこう訴える。
(おれは)「高畑勲に自分の全青春を捧げた。何も返してもらっていない」

今や2人とも日本のアニメ史、映画史に残る巨匠だけど、ただのウルトラ我儘な男の子でもあるのだなぁと。その我儘な爺・宮崎駿が美術館に続き保育園を作るという、壮大かつ奇天烈な計画をぶちあげている点も面白い。

仕事で出版や映画業界の大御所にお会いする機会があったけど、巨匠と呼ばれる方々は同時に、発想が異常に豊かな大きな子供ともいえる印象も持った。

宮崎駿と高畑勲のその発想のユニークさは、妖怪・水木しげる先生に優るとも劣らないような気が。

そんな大変な先輩たちとのハードワークも「仕事道楽」として楽しめてしまう(実際はとても笑えない深刻かつ悲惨なシーンもあっただろうけど)、鈴木Pの懐の深さがこの本によく表れていた。

出版・映画界をサバイバルしてきた60歳以上の人たちはパワフルだね~、と改めて感じる1冊。自分たちの世代を含め、定年をまだ迎えていない現役世代はまだまだ小さいよと。

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