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本の雑誌よ 永遠に

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本屋でなんとはなしに『本の雑誌』年末特大号を立ち読みしてたら、
編集長の椎名誠がさっくりと衝撃的なことを書いていた。

○以下抜粋
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2008年になって『本の雑誌』の経営が急に悪化し、このままでは「休刊」に追い込まれるかもしれない、と現経営者に聞き、これはいかん、と思い、ぼくはもう何年も前から実質的な編集現場から離れていたが、なんとか立ち直る方向でみんなと頑張ることにした。

今回いきなり自分の編集長の系譜を書いたのは、これが最後の「今月のお話」になるかも知れないから、と言われたからだが、これを書いている途中で(締切前日に)まだもう少し這いつくばってでも出していこう、というスタッフみんなの決意になった。
地方の講演などに行くと、むかし『本の雑誌』読んでました、などと言う人とよく会うけれど空前の危機を迎えてしまったのでぜひまた『本の雑誌』を読むようにしてほしい。

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本の雑誌は1976年から続く、業界ミニコミ誌の草分け的な書店直販雑誌。
(雑誌扱いではなく、書籍扱いだから実質は「本の本」か?)

愛読誌というものでもないけれど、
中学生ぐらいからなんとなく図書館で読んでいた雑誌のひとつ。
小さくてゲリラ的な自由を持つ出版界の象徴ともいえる存在。
良くも悪くも、こんないい加減な雑誌がよく30年以上も休刊せずもったなぁ
といえなくもないけど、なくなってしまうのはさびしいような。

仲俣暁生さんのブログ「海難記」でも、出版界における同誌の意義と今回の件が語られていた。

雑誌仕入の仕事をしている知人に聞くところによると、
雑誌の返品率が再び40%近くに跳ね上がってしまったため、
来年から雑誌の配本総量規制ががちんこで始まるらしく
未曾有の雑誌休刊ラッシュが待ってるそうな。

ダイヤモンド社あたりのビジネス系雑誌は比較的堅調らしいけど、
広告依存のファッション誌やら総合誌やらのマス媒体はどんどんなくなるだろう。

とはいえ、小さな出版社が気合いで作ってるこうした古き良き雑誌は残って欲しいなと。

世界的不況による紙代の高騰とかネットへのユーザーニーズの移行とか、
今の雑誌のビジネスモデル自体の問題も大きいんだろうけど、
全ての雑誌が不況の影響を等しく受けるわけではなさそう。

実際のところ、買切で返品もなく制作費も部数も少ない本の雑誌の行く末は、
これまで立ち読みで済ませてた元読者が今月号を買うか買わないか、
に大きく左右される気が。

ということで、なんとなく今月はふだんより雑誌を多く買った。
休刊されないために買う、
というのが来年からの読者の役割の一つでもあるのかなぁと。

この内容であれば、低コストで全てWEBマガジン化して、
連載がたまったら単行本を電子書籍配信というモデルにすぐ移行できる感じがするけど、
本の雑誌はやっぱりあのザラ紙で読みたいもの。

休刊すれすれだというのに、1月号の誌面も昔同様にゆるい。
来年のことも考えずに「9人の新連載が一挙スタート!」するそうなw
誌面そのままに来年もゆるゆるだらだらと続けばいいなとふつうに願う。


WEB版 本の雑誌

「オトコの本棚」連載に、ハゲタカ主演の大森南朋が登場。
大森南朋、渋いっす。

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マンガビジネス入門 ~まんがのしくみ ついに電子書籍化~

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12月26日、eBookJapanで配信中の
大人気メールマガジン『まんがのしくみ』を
ついに電子書籍化!

まんが界初のまんがビジネス入門書
まんが王国の興亡―なぜ大手まんが誌は休刊し続けるのか―

著者は、第37回漫画家協会賞特別賞を受賞されたまんが産業研究の
第一人者・中野晴行さん。

今回の電子書籍化にあたり、連載中の人気エントリーを
まんが誌黎明期の60年代、
爛熟期の70~80年代、
出版バブル崩壊後の90年代以降
の3つの時代に分けて再構成。

コラムの掲載スペースやタイミングの関係で
連載時には詳しく記載できなかった、まんが業界の裏話やよもやま話、
まんが産業の将来展望を中心に大幅に加筆修正。
新たなエピソードや国内外の最新市場データも多数収録しています。

ジャンプ、サンデー、マガジンなど少年コミック誌で育った20代~30代の
元まんが少年少女にはおもしろい読み物になってます。

まんが史の謎と未来がこれ1冊でまるわかり!

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目次

第1部 まんが史クロニクル

第1章  まんが王国日本はまんが誌から生まれた

『鋼の錬金術師』が繰り出すコンテンツビジネス錬金術
膨大な消費者に支えられるまんが産業

第2章  ジョー&飛雄馬とともに歩んだ高度熱血成長市場
雑誌がまんがの産業化をうながした
マガジン&サンデーが牽引したまんが雑誌のビジネスモデル
雑誌と貸本 まんがの多様性を育てた西の「トキワ荘」
『宇宙戦艦ヤマト』以降の進化
70年代オイルショックがまんが市場を変えた

第3章  まんが週刊誌がシステム化した『まんが道』
新人まんが家を探せ!!
まんが家からまんがプロダクションマネージャーへ
ボツ原稿の山から鳥山明を発掘
83年がまんが黄金期の曲がり角だった
まんが産業の進化と落とし穴

第4章  少年ジャンプという名のバブル
ドラゴンボールから始まる大長編時代
まんが出版の凋落
『週刊少年ジャンプ』600万部時代の終焉
まんがを読まない若者たち
囲い込み形ビジネスモデルの終焉を暗示する『ヤングサンデー』休刊

第2部 現代まんが市場のしくみ

第5章  まんが雑誌が消える日が来る

まんが雑誌はいらない?
不惑を迎えた『ゴルゴ13』から考えるまんが雑誌の未来
それでもマイナー雑誌が未来を担う
『バクマン。』で知る、21世紀まんが家のリアル
『AKIRA』からはじまった映像化ビジネスへの傾斜
ハリウッドが日本まんがに熱視線

第6章  アトムやバカボンが時代を超えて
「カワイイ」の経済学
赤塚キャラクター達よ永遠に
カワイイ・アトム登場
「ポケモン」ビジネスは水物か?

第7章  ローコストで世界を感動させる日本まんが
海賊版で世界に広がった日本まんが
日本の「MANGA」はお買い得!
少女まんがが日本まんがの国際化を牽引する
描き手はグローバルでも、市場はガラパゴス
海外版権ビジネスの落とし穴

第8章 進化し巨大化するコミケ市場
アマチュアが拡大したまんがの裾野
アマチュアの祭典から巨大市場コミケに
現代まんが消費者は「萌え」ているのか
WEBでアマチュア作品が世界を巡る

第3部 まんが産業の未来予想図

第9章  新しいまんがビジネスとは

まんがは文化か? 産業か?
『マンガ日本経済入門』大ヒットのシクミ
未来型まんが雑誌『コミック・ガンボ』はなぜ失敗したか
出て来い「まんが総研」
専門職としてのまんがエージェント

第10章  デジタル化で世界に広がるMANGA
250億円を突破したデジタルまんが まんがは好き!でも本はいらない!
デジタルまんがのビジネスモデル
デジタルまんが市場のゆくえ
印刷を離れればまんが表現も変わる
いつかはまんがワールドカップが?

第11章  官・学とまんが産業
ちょっときな臭い「コンテンツ産業振興法案
規制と利権でなくサポートを
「東京国際アニメフェア」から学ぶ世界標準
まんが産業の未来を大学が変えるか
まんがナショナリズムを越えて

あとがきにかえて
これからまんが産業を学ぶ人に   参考文献一覧

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偽りの民主主義  戦後映画史のタブー

メディア界の知の巨人こと浜野保樹さんの新刊、
偽りの民主主義』がいつのまにやら発売されていたらしい。
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昨年お会いした時に本の構想を伺って以来、
楽しみに待ってたんだけどいつまでたっても発売されず。

ご本人も「書いたら刺されるかも」と笑っておっしゃってたし、
タブー過ぎてお蔵入りなのかな?と思って忘れてたら、
今日、本屋で偶然発見し、即購入。
ぬあんと、511ページの大書。


敗戦後、GHQの情報統制による文化介入が、
いかにして映画界をはじめとした日本のメディアに暗い影を落としたか、
それがいかに今も続いているかを記録として残すために書かれた本書。

読み始めたばかりだけど、衝撃の事実が目白押し。
黒澤明の弟子であり、現在も日本の映像・出版文化政策に深くかかわっている浜野さんのみぞ知る実話なのだろう。

コアな映画ファン、歌舞伎など伝統芸能ファンにはたまらん1冊な匂いがぷんぷん。

デジハリの杉山校長ブログを見ると、
先月の出版記念パーティにも出版、映画、ゲーム、広告、官公庁などメディア各界のひとびとが集結していたそうな。

きっと、20年ぐらい前の氏の名著『ハイパーメディアギャラクシー』に
影響を受けてメディア関係の仕事を始めた、30~40代ぐらいの元読者なのかなと。
多くの浜野チルドレンたちが待ち続けたいぶし銀の1冊っちゅう感じ。

しかし、あらためて史実というかノンフィクションの力を感じる。
年末にリリースする戦後マンガ史教科書のように、
戦後出版史の謎と闇に触れる本を流通タブーをかいくぐれる電子書籍で
いつの日か書いてもらえたらいいなぁと夢想。

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ドラゴンボールはなぜそんな映画になってしまうのか

ハリウッド映画、ドラゴンボールの予告編をはじめて観た。

う~む。短い予告編なのでなんともいえんけどあまりの出来栄え。
こうした変化もいわゆるローカライズだというのだろうか?

韓国実写版より格段にハイクオリティなのは間違いないが、コメントは差し控えたい。

北斗やシティー・ハンターといい、今回のドラゴンボールといい
小さい頃にハリウッド映画化(スピルバーグ印映画全盛時代ね)を夢見た
ジャンプ黄金期の思い出のまんがはどうしてこんな映像にされてしまうのか。

そんな素朴な質問に対する答えも、現在制作中の電子書籍『まんが王国の興亡
にぜひ盛り込みたいところ。

ごっつい交渉上手なあちらのエンタメ・ロイヤー(弁護士)や金融の専門家のせいだけではないような気がする。

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まんが王国の興亡 なぜ大手まんが誌は休刊し続けるのか

連載中のコラム『まんがの「しくみ」』の電子書籍版
『まんが王国の興亡 ―なぜ大手まんが誌は休刊し続けるのか―』
の発売日が2008年12月26日に決定!

漫画大目録サイトにも発売記念著者インタビューをアップ。

2004年に出版された、中野晴行さんの名著『マンガ産業論』
の最新版入門書とでもいうべき内容。

今回の電子書籍化にあたり、連載中の人気エントリーを
・まんが誌黎明期の60年代
・爛熟期の70~80年代
・出版バブル崩壊後の90年代以降
の3つの時代に分けて再構成。

コラムの掲載スペースやタイミングの関係で連載時には詳しく記載できなかった、
まんが業界の裏話やよもやま話、市場動向や将来展望を中心に大幅に加筆修正し、
新たなエピソードや国内外の最新市場データも収録。

まんがの今はもちろん、
夏目房之介さんのブログ夏目房之介の「で?」でも紹介されていた
劇画の辰巳ヨシヒロやコミケの歴史など
まんが史を語るうえで欠かせない昭和まんが風雲録的エピソードも時系列にそって掲載。

ワンコイン500円(税抜)で
まんが界の謎と未来が丸わかりできるお買い得なまんが学入門編です。

東京都が作成した「アニメの教科書」が1万円以上するのに比べると、
価格破壊ともいえる「まんがの教科書」です。

個人的には、
少年ジャンプ黄金期にジャンプやマガジン、サンデーを読んで育った人、
コンテンツビジネスに興味のある学生さんやビジネスマンに
ぜひ読んでもらいたい
1冊。

■CM動画

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まんが王国の興亡 ~なぜ大手まんが誌は休刊し続けるのか~ by ebiさん

カンタンCM作成サイト コマーシャライザー

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電子書籍のメリット

今、手がけている電子書籍先行配信の作品編集がそろそろ終わりに近付いている。
作っていてあらためて思ったこと。
それは、電子書籍はやはり紙の書籍とは違うのだ、ということ。

ネットでは表現や文言やデザインが乏しい。
要するに、紙と違うのが嫌だという編集者が上の世代には多い。
しずおかオンラインのブログエントリー
“紙”を捨てるのに9年かかりました
に書かれていた
「出版人はウェブの機微や言語を理解していない」

の一言には激しく同意。そしてその逆もしかりなんだろう。

個人的には紙と違うからこそ電子書籍で配信する意味があるんだろうなと思う。

見かけの体裁にこだわりすぎずスピーディーに出せる。
出した後でも容易に文章を変更することもできる。
そしてなによりも物流の苦労がなく返品もなし。
そんなメリットを感じられるのは、出版社で編集作業をやっていないからかもしれない。
紙の本と同じようにすることに時間をかけるぐらいなら、
WEBでどうプロモーションするかということに時間と頭を使いたい。

要するに電子書籍とは、編集するにせよ売るにせよ、
いったん形になったあとに状況に応じて可変していくものだということ。
紙の本の場合はいったん印刷して取次に納品してしまった後に
出版サイドでやれることは案外少ない。
本が売れるかどうかの半分ぐらいは、プロモ予算と出版社ランクで決まってしまう。
なんだかんだいって一部を除く大半の本の売行きは「本の配給」ランク次第の側面が。

良くも悪くも固定するものが紙、可変できるもの電子書籍かなと思う。

できる限り素早くリリースした後に、局面に応じて柔軟に可変していきたいと思う今日この頃。

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