日本アニメ vs ハリウッド

10月27日夜にNHKスペシャルで放映された「日本とアメリカ」シリーズ第2回 『日本アニメ vs ハリウッド』が面白かった。


鉄腕アトムがハリウッド映画『ASTOROBOY』としてCG映画化されるにあたっての日米関係者の慣習や価値観の違いや、最初から英語圏市場向けに制作された日本アニメ『アフロサムライ』の制作上の苦労などなどとても興味深い内容。


暴力描写や宗教描写の検閲はもちろん、より大人向けによりわかりやすく修正されるローカライズ化についての日本側のストレスフルな作業が十分に伝わってきた。

続編ではない映画のねた不足で世界中の原作を捕獲したいハリウッド側と、少子化で縮小する国内市場に危機感をもつ日本側双方の思惑により、今後も程度の差こそあれこうした日米合作は急増していく方向にあるとのこと。

日本側を代表して取材を受けていたGONZOの制作責任者の、
それでも乗り越えなければならない壁」 なのだという一言が印象的。

まんがのしくみ連載でもマンガアナリストの中野晴行さんが再三指摘しているように、いわゆる「コンテンツ立国」日本の鍵を握るのは、官僚なんかではなく日本企業のプロデューサー。

遅遅とした国の環境整備を待つまでもなく、個人個人のがんばり次第なんだなぁとあらためて実感。


■日米合作時代劇アクション映画『アフロサムライ』

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戦争はいかに「マンガ」を変えるか― マンガの地位はなぜ低い

マンガ文化の日米比較論的ともいえる、とてもおもしろく刺激的な1冊。

戦争はいかに「マンガ」を変えるか―アメリカンコミックスの変貌 戦争はいかに「マンガ」を変えるか―アメリカンコミックスの変貌

著者:小田切 博
販売元:NTT出版
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かなり硬めの本なのでまだうまく理解できていないんだけど、
日本で数少ないまともなマンガ評論家のひとり、夏目房之介氏のレビューはさすがに的を得ている。
夏目氏が同書より抜粋した下記の文章には、はげしく同意。

(日本のマンガ評論本の)言説の持つ脱歴史性、それが結果として、(マンガ)で描かれた表現から政治性、社会的な意味を読み取ることを読者に放棄させる役割を果たしてきた点を指摘しておきたい。〉

〈いまや私たちはかつて排された「『まんがと社会』や『まんがと文学』『まんがと映画』『まんがとTV』『まんがと思想』その他もろもろの、まんがと他の物を対立させて展開するまんが論」をこそ切実に必要としているのではないか〉


著者の主張は、マンガ家は戦争・政治に対し、出版社など周囲の圧力から逃げずに踏みとどまり、マンガ批評は逆に政治・社会を取り込むべき、というもの。

従来のマンガ論本にありがちな、
論でもなんでもない「自分語りエッセイ的読書感想文」
に対する痛烈な批判だなぁと。

いまや、コンテンツ振興法などで国策のひとつに指定されるほどのメジャーカルチャーといえるマンガ。

圧倒的な数の読者と巨大市場を持つマンガがその存在感とは裏腹に、
出版界で「軽チャー」としてみなされてきたのはなぜか。

マンガに関係するしごとやマンガ文化そのものが低い地位に置かれ続けてきたのはなぜか。
その答えのひとつが本書にあったような気がする。

著者の小田切博さんには、次作ではもっと踏み込んで闇の部分にふれてほしい。

マンガ家や読者がマンガに社会的な意味を付与することを
放棄するような風潮は、なぜつくられたのか。

たぶん、マンガに関するいろんなことを考えている
多くの人がここに行き着いて止められてしまうような気がする。

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ポニョJAPAN

大方の予想通り、ジブリの新作『崖の上のポニョ』がまたもメガヒット。
公開後1ヶ月で興行収入100億円を突破したそうな。。


最近は新作が公開されるたびに劇場で1,000万人は観るらしいからすごいなと。

コアなジブリファンではないけれど自分もラピュタ好きだし、奥さんもハイジ好き。
自分はまだだだけど、娘はポニョも含めてほとんど観てる。
同世代の親たちはけっこうジブリアニメで育ってきてるから、その子供もまたジブリ漬けw

4歳にしてトトロを100回以上観てる熱血ジブリファンのわが娘。
あまりにも観すぎてメイそっくりの性格になった。
ライフスタイルがトトロに似てるらしい自分も娘のことはいえないけど、できればナウシカかシータに似てくれればよかったのにw

ポニョを観てから娘の外見はポニョに似てきたみたい。
しかし、キッズたちへの影響力は相変わらずすごいなと。

最近は宮崎駿監督の映画というより、鈴木Pの映画といった感じだけど、ポニョはどうだったのかな?

※ここらへんの事情は『宮崎アニメは、なぜ当たる スピルバーグを超えた理由 』という本が詳しい。

鈴木Pによる作戦転換以降、すっかり国民的アニメになったジブリ作品も、海外では今ひとつ人気がないという。
言語の壁や大人がアニメを観る習慣がないせいもあるらしいけど、日本でのみ異常な人気を誇る不思議なシリーズ。

日本人はなぜこんなにジブリが好きなんだろう?
平和でスロウな感じが古き良き素朴な日本を感じさせるのかな?

平和のシンボル風なジブリ人気が続くうちは平和だといいなぁ~

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クレヨンしんちゃん

クレヨンしんちゃんをはじめてちゃんと観たらのけぞった。

松本人志も絶賛していたというシリーズ中の異色作品、
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』
に思わず感動。。

こどもにはちとわかりづらい感動かもしれないけれど、
父ヒロシが意識を失っている間の回想シーンでやられてしまった。

監督の原恵一氏はすごい。
クレヨンしんちゃんという、感動からは程遠い素材をよく料理したなぁと。
働くおとうさんの涙を誘うアニメ映画NO.1ちゅう感じ。

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墓場鬼太郎

鬼太郎生誕40周年を記念して、
本日10日深夜から8ちゃんの深夜枠「ノイタミナ」で放映が開始される
アニメ『墓場鬼太郎』の公開イベント 『新春 おばけ祈願!墓場鬼太郎ヒット祈願』
の取材のため、神楽坂にある赤城神社に行ってきた。

なにやら幽玄なムードの神社で、ちゃんちゃんこを着た鬼太郎関係者とファン40人が提灯行列。
予想以上に集まった報道陣に加え、通りがかった一般客も物珍しそうにがやがやと集まってきた。

提灯行列の先頭には、
初代鬼太郎声優の野沢雅子さんと5期鬼太郎声優の高山みなみさん、鬼太郎さぽーたーず代表・京極夏彦氏という豪華な3ショット。

野沢雅子さんの声を生ではじめて聞いたんだけど、
地声はドラゴンボールの悟空に近かった。

スタッフ陣いわく、アニメ版墓場鬼太郎はなにやらダークでクールな出来栄えだということで個人的にもかなり楽しみ。
キッズにのっとられた5期鬼太郎と違い、大人のための鬼太郎という感じ。


寒空の中、がちんこで鬼太郎への想いを熱く訴えていた京極夏彦氏の鬼太郎狂ぶりにも感銘を受けたけど、
このひとたちは本当に鬼太郎が好きなんだなぁと。

イベント終了後には甘酒もふるまわれて、
しばし鬼太郎YAERの幕開けムードに浸る。

しかし、寒いときの甘酒はうまい。

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マンガナビ

マンガソーシャルメディアの3回目の改装を敢行し、
サイト名とドメイン名を
マンガナビ/manganavi.jp
に変更してリスタート。

やれやれ、今年最後のお仕事がやっと終わった感じ。
徹夜つづきの運営スタッフのみなさんには頭が下がります。

マンガ文化のソーシャルメディアを標榜しつつ、
肝心のSNS機能に難があるという致命的な欠陥を抱えていたため
根性と気合のWEB1.0サイトとしてw、人力のコンテンツ制作で集客してきたのもこれでひと段落。

今年ももう終わりということで、年間の総まとめ特集もアップ。


メディアを通じてこの半年で見えてきたのは、
マンガというPOPカルチャーは
世界的な地位と関心が薄れつつある現在の日本で
最後の砦かもしれないなぁということ。

広告もなにもうってないのに、
海外からの訪問ユーザーの比率がやたらに多い。

実際に会った、海外の読者やらビジネスマンのひとびとは
日本のマンガに対して想像以上に詳しかったり貪欲だったりする。

そんな海外での日本のマンガ熱に浮かされて、
経済戦争で負けっぱなしの日本が勝つための唯一の武器が
マンガなどのコンテンツなんだと官の鼻息も荒い。

ただ個人的には、国内におけるクリエイティブ産業への転換論やら、
情報大航海プロジェクトに象徴される従来型の官民一体型の情報・コンテンツ産業支援の方向には懐疑的。

長い目でみて今必要なのは、
特定企業群やらクリエイター教育機関への助成ではなくて、
米国はもちろんEUやらBRICS各国からも遅れている
日本語の多言語自動翻訳システムと出版物の電子化・流通モデル開発。
あとはモデル開発と平行した場の創出ができるプロデューサー人材の育成なんじゃないかなと。

民間がやることは
創造と競争の場をネットでもっとたくさん生みだすことのような気がするんだけれど、
国内ではmixiやらニコニコ動画やらモバゲーに代表される、
新しいようでいて従来型のクローズドな内輪ウケサービスが勝ち組サイトとしてもてはやされがち。

そんなものは国外では誰も興味もってないちゅうねん。

官のひとたちとネットやら出版に従事するひとたちに早くチャレンジしてもらいたいのは、
ローコストオペレーションなネットメディアを早く大量につくること。
このメディアをたたき台にもっとよいものをたくさん作ってほしいなと。

かつてCOOLJAPANとして世界に注目された、ゲームやらアニメやらマンガはすべて、 安く、はやく、大量に作ることから始まったような。
いまは質より量が大事な時期のような気も。

世界的なコンテンツ競争を戦争に例えたいのであれば、
これまでの大砲巨艦主義ではなく零戦による空中戦のようなもの。
いまは零戦の数が足りなすぎるだろ。

これまで同様の、出版社の横並び主義やらメーカーや官の利権やらの議論で終始する時間はたぶんあまり残っていない。

「クリエイティブ産業立国」とかって、政府が数年後ぐらいに
新しいスローガンと予算を打ち立てそうな気も。
予算目当ての民間企業が追随しようとしたときに待ち受けているのは、
圧倒的な量的ハンデを負ったイノベーションウォーのはず。

個人的には、早めに始めることでウォーではなくゲームにしたい。

「これは戦争だ!」と大声で叫ぶのは、いつの時代も気づくのが遅かったひとだという。

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コミックガンボ廃刊

無料の週刊漫画雑誌「コミック・ガンボ」が、12月11日発行の第48号で休刊するそうな。
創刊から1年足らずの休刊で、理由は「諸般の事情のため」とし、詳細は明らかにしていない。

ちょうど『マンガ産業論』の著者であるマンガ研究家中野晴行氏への取材で、

このコミックガンボの課題とフリーコミック誌の可能性について取材したばかりだったので驚いた。

たしかにお茶の水駅前での手配りは厳しそうだったけど、あたらしいチャレンジとしては興味ぶかいこころみだったと思う。

創刊時のプロモーションの重要性と既存流通の新興勢力への風当たりの強さをあらためて感じる出来事。

なによりも、新人クリエイターの発表の場がまたひとつ減ってしまったことが大きいような。

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