神保町BookSalon連載企画初の書籍化決定

●神保町BookSalon発の連載企画の書籍化決定!


神保町ブックサロンで好評連載中の「まんがのしくみ」を書籍化した、
神保町ブックサロン発の書籍化タイトル第一弾
マンガ進化論」(電子書籍版タイトル名「まんが王国の興亡」)が
09年5月20日に書店店頭発売されることが決定しました!

WEB連載-電子書籍-書籍販売という新サイクル

今後も、当メディアで反響が高い連載読み物については、
連載開始から1年後を目安に電子書籍販売サイトebookjapnaにて
連載を再構成した単行本形式の有料電子書籍として配信していきます。

同時に、書籍発売前のプレマーケティング、プレプロモーションを
WEB上で行っていきます。

書籍発売前に電子書籍化することで、従来の出版流通の課題だった、
仕入れる前にどんな内容の本なのか知りたいという書店ニーズを満たし、
大書店にしか並ばない、品切れで読めないという読者の不満を解決します。

当メディアでのWEB連載が、絶版がなく紙でもデジタルでもいつでも読める
新しい本の流通モデルのスタート地点となる予定です。

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●将来構想

新しいオンラインジャーナルメディアへ

今後は、現在の出版市場において書籍化や書店配本が難しい
ニッチな専門ジャンルや、小部数ながらも固定読者に支えられてきた
人文社会系の連載読み物を積極的に電子書籍化していく予定です。

また、バラエティ豊かな出版活動を保証できるような
新しい言論流通プラットフォームメディアとして各種機能を拡充していきます。

将来的には、
ペーパーレスでアーカイブ性が優れた電子書籍のメリットを生かし、
携帯・iPhoneやオンデマンド出版といったマルチプラットフォーム配信
や読者ニーズに応じた章単位でのバラ売り配信にも対応。

時間や国境を問わず、世界中の読者・研究者・編集者が
日本の作品を読める環境
を整備していきたいと夢想しています。

とはいえ、いまのところこのメディアは、読者の方々の口コミが頼りです。
ブログやコミュニティ、SNS日記等でどしどしご紹介いただけると幸いです。

また連載したいレポート記事、コラム、物語などございましたら
まずは下記窓口までお問い合わせください。

それでは神保町BookSalonをどうぞよろしくお願いします。

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■メディア概要

メディア名 :『神保町BookSalon』

コンセプト :本の匠のためのオンラインジャーナル

運営    :イーブックイニシアティブジャパン 新規編集グループ

開設日   :2009年4月17日(金) β版開設

閲覧価格  :無料

URL:
http://www.sogotosho.daimokuroku.com/?index=rensai

運営窓口  :イーブックイニシアティブジャパン 新規編集グループ
ご連絡先アドレス:salon@ebookjapan.co.jp

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kindle2 が変えるもの

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2月9日に、amazonがついに読書端末kindleのニューモデル「kindle2」を発表した。

日本ではほとんど話題になってないけどw
アメリカのメディアはこの話題でもちきりらしい

軽量小サイズが売りのkindleだけど、
新モデルは文字情報の音声朗読(音声変換)機能が加わり、
さらにスリムで高速化しているそうな。

記憶容量は2ギガバイトで、
保存可能な電子書籍数は従来の200冊からいっきに1500冊に。
6インチ・ディスプレイ(600×800ピクセル)の電子ペーパーには、
従来の4階調表示より鮮明な16階調表示を採用しているという。

価格は1号モデルと同じ359ドル(約3万3000円)のままで、
今月24日から出荷を開始するそうで、2号機は品切れがないよう注意するとのこと。


NYの図書館で行われた記者会見で
CEOのジェフベゾスは
「当社の構想は、これまで出版されたあらゆる言語のあらゆる書籍を60秒で利用できるようにすること」と語ったらしい。
また、ベストセラー作家のスティーブン・キングの新作「Ur」をキンドルで独占配信する予定とのこと。

読者はベストセラー新刊が1000円以下で読め、
著者は出版印税が35%も入る(通常は10%)というまさに読者と著者ともにおいしいビジネスモデル。
日本での発売は2年以上かかると思うけど、
新書や文芸文庫などをヘビーに読む読者には向いてる。
800円前後の新書を300円から500円で流通できれば
日本でもkindle市場は一気に広がるんではないかと。

まだ現物に触ってないので使いやすさについてはなんともいえないけど、
会見で説明されたという「ウィスパーシンク」という新機能にも注目。

ウィスパーシンクとは、kindleで読者がどの本を読んでいるのか、
どのページを読んでいるのかがわかるというモニター技術
だそうな。

リアルタイムで、どんな読者が何を読んでいるのかさっぱりわからない、
というの点がこれまでの書籍流通の大きな課題でもあった。

アマゾンが実現したこの技術が、これからの出版ビジネスを大きく変えていくだろう。

これからの本づくりや本を売ることに関わるひとは、
この技術が「すでにある」ということを前提に
出版という仕事について考えていくのかなと。

kindle2のガジェットとしての形や色はともかく、
革新的な変化はいつも地道に進行するもの。

そして、金森さんというマーケティング専門家の方のエントリー
電子書籍端末「キンドル2」からチラつくアマゾンの凄味
で説明されている、amazonが持つ圧倒的な「顧客基盤」の力には納得。

amazonが実現していくであろう成長戦略は、
いつのまにか市場の生態系を根底から変えてしまうのだろう。

以下上記エントリーから引用

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ゴール・アンゾフの成長戦略のマトリックスで考えてみる。
この
フレームワークは、横軸に製品、縦軸に市場をとり4象限を作って各象限毎に戦略の方向性を示す。
既存の
顧客に既存の製品をさらに販売する「市場浸透」。
同じ市場に対し新製品を投入する「新製品開発」。製品は変えずに新たな
顧客を取り込む「新市場開拓」。
新製品を新市場に展開する「多角化」の4パターンである。

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電子書籍は電子書評で飛翔する

昨年12月末にリリースした、
オリジナル電子書籍『まんが王国の興亡』の反響が高まってきてうれしい限りです。

電子「コミック」をWEBとケータイで国内外に販売していくチャネルは
丸4年以上かけていろんな異業種企業と協力して整備してきたものの、
電子「書籍」の販売チャネル整備は作品編集も含めてこれからといったところ。

漫画史や名作漫画の誕生背景についてよく参考にさせていただいてる
漫棚通信さんを皮きりにネット書評がじょじょに増えてきたので、
家で片っ端から読みました。

Copy & Copyright Diaryブログのような漫画関連以外のブログにも取り上げていただき、漫画読者以外にも広く出版・コンテンツ関係に興味を持つ読者に届くことを期待。

そして、読者とユーザーの意見はすべて正しいなぁと。

午後、リスクをとってマンガ界の未来を握る力作を電子書籍に委ねていただいた
著者の中野晴行さんにも電話。

著者側、販売側ともにトライしてみなければわからなかったことが
いろいろわかって目から鱗ですね~としみじみ。

今後、書籍化・オンデマンド化、iphone・ケータイ配信など
本の内容どおりのワンソース・マルチユーズ展開をすすめていくうえで
とても参考になりました。

せっかく電子書籍を体験してみようと思ったのに、
マッキントッシュPCやブラウザ環境のため読めなかった方は、

たいへん恐縮ですが春に書籍化されるまで
こちらのダイジェスト版無料WEB連載でしばしお待ちください。

※過去記事の全てと毎週更新している最新記事もすぐ読めます。

翻って、電子書籍のメリットはというと、
省スペースで品切れ(=絶版)がない、
安く買えてすぐに読めるなどいろいろあれど、
ローコスト&スピーディな制作発売もウリのひとつ。

一部の有名作家や売れ筋ジャンルだけでなく、
コアニーズのあるニッチジャンルの作品や新人作家の作品が、
今後も電子書籍として素早くリリースできるよう、採算分岐点は極力低くがベター。
電子化・原稿料以外の広告・販促予算を抑えることで成立するモデルです。

そして、電子書籍の両刃の剣ともいえるのは「本」という現物がないこと
本屋さんに大量に並べて店頭告知したり、回し読みや図書館で借りてもらうことや
新聞・雑誌の書評に掲載してもらうことができない。

よって、電子書籍は口コミがすべてです。

コアな活字読者に支えられる専門書というものは短期的に売るものではなく、
時間をかけて売っていくロングテール商品。

書籍流通の専門家曰く、現在の書店ルートにおける専門書は、
出版社規模の大小やジャンルで異なるものの
初版2,000部刷り、約300~500書店弱に置いてもらって
実売1000部(返品率50%)、重版なし
なんていうのがざらなのだと。

俗に「ジェット返品」と呼ばれる、書店への新刊配本翌日に即返品される割合も高い。
固定ニーズがあっても実売数百部に満たない専門書もたくさんあるそうです。

今回、未体験の「電子書籍」というものにトライしていただいた読者の方による
無償口コミのおかげで、ゆっくりと時間をかけて「紙の本」以上に売れてくれそうです。
紙に比べて販管費がかからない分著者ロイヤリティ(=印税)が紙の数倍はあるため、
TVなどのメディア露出で勝負しない専門家にとってはリターンの大きいモデルです。

いまや青果販売のように短期サイクル化した書籍販売の流れに逆行し、
ロングテールな専門書をさらにロングテール化していくのが電子書籍の存在意義

今回の試みは、著者の中野さんの実験でもあり個人的な実験でもあります。

書店流通とネット流通とケータイ流通、オンデマンドとソーシャルメディア、
可能な全てのチャネルをフル活用して
「本」の可能性を探るプレマーケティング第1弾的意味合いも。

SNSやブログしかり掲示板しかり、
いろんな賛否両論がネット上で巻き起こり広がっていくのは嬉しいなと。

特に、アルファブロガー竹熊健太郎さんのブログ「たけくまメモ」にて、
今回の実験のメリットデメリットと現時点での可能性について
ほぼ正確な鋭い分析をしていただいていました。

企画者サイドとしては本当にありがたい限りです。


なぜ今リリースしたのか
なぜこの価格なのか
なぜこの仕様なのか
なぜコピーできないのか

電子書籍先行配信については
単純に発売前日まで連載の最新原稿を挿入していたため
紙の書籍出版の準備をするヒマがなかったというのが真相。

電子書籍のおしごとは、まずはビジネスモデル作成からはじまって
契約交渉&編集&営業・広報・サイト編集&開発&チャネル開拓
が分かれていなかったりも。
本屋を立ち上げながらそこで売る本も作っていくという感覚です。

今回のプロジェクトは
通常のサイト運営業務の年末進行で火を吹いてる中、
書籍編集・デザイン・プロモーションの経験をなんら持たない
本と漫画好きの素人有志スタッフが集まって、
書籍出版経験者のようにリスクを恐れて批評家的スタンスを取るのではなく
ひとまず素早く形にしてみないとね、という気合一発で始動しました。

技術仕様改変に関する疑問や要望については、
今回のトライアルは企業としての企画というより
著者の中野さんとの個人的なトライアルとしてスタートしただけなので
現時点で社としての正式回答は正直すぐには難しい感じです。

読者の方々の全ての疑問や要望は玉虫色の日本のカイシャ的回答ではなく、
これまで同様にさまざまな業種の提携企業やフリーランス有志のお力を借りつつ、
今後一つ一つ形にしていくことで答えていきたいなと考えています。

出版社営業や流通、書店など現場の各担当者さんたちの最前線の情報や
出版状況クロニクルの小田さんのような専門家による分析を総合すると、
「本」の世界恐慌が今年起こる可能性も。

特に、その道の専門家が時間をかけてきちんと調べて書いた
ニッチでもコアニーズのある専門書は、
町の本屋さんからどんどん姿を消しつつあります。

そして、世界的な不況により、
資金的余裕のあった国内大企業の予算・人海戦術による
チャネルパワーと勘を頼りに本を売っていけた時代ももう終わりそうです。

高コストかつリスキーな書籍出版前に電子書籍で発売できれば、
旧世代のマーケティング手法ともいえるユーザー性別・年代属性・住所といった
本を買うこととあまり直結しない情報ではなく、
どんな作品を買っている読者がいくらでいつ買うのか(あるいは買わないのか)
というプレマーケティングが電子書籍化によって可能。


WEB連載→電子書籍化→オンデマンド書籍化→書籍配本
→各国語翻訳配信→各国語出版

という電子書籍発のモデルがふつうになる時代ももうすぐ。

『まんが王国の興亡』は漫画読者や漫画業界人だけではなく、
本と本の世界を愛する読者はもちろん、
著者・編集・営業・流通・小売・印刷・製紙・図書館を含むすべての出版人向けに作りました。

そこにある危機ではなく、希望と捉えるひとにこそ読んでもらいたい1冊です。

価格も仕様も内容もやがてくる未来から逆算し、試行錯誤して考えました。

時間をかけて全てが連動した時、この実験の成否がわかるはず。
成功した時は、多くの専門家がこのサイクルを前提に作品を書き、
多くの出版人、読者の選択肢が増えるようになるはずだと期待して。

いろんな角度からの書評を読みつつ感じたのは、
このサイクルがアナログな本好きとデジタルネイティブたちの力を借りて、
時間をかけてつながっていくだろうという予感です。

時間をかけてひとつひとつユーザーコメントを読みながら、
全ては本番までのエクササイズということなのかなと感じたりも。

こむずかしいことはさておき、
まだ海のものとも山のものとも知れない電子書籍を読んでいただき
書評を書いていただくというのは嬉しいことです。

自分のへっぽこ書評も気合いを入れて書かねばなと反省しつつ。

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マンガビジネス入門 ~まんがのしくみ ついに電子書籍化~

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12月26日、eBookJapanで配信中の
大人気メールマガジン『まんがのしくみ』を
ついに電子書籍化!

まんが界初のまんがビジネス入門書
まんが王国の興亡―なぜ大手まんが誌は休刊し続けるのか―

著者は、第37回漫画家協会賞特別賞を受賞されたまんが産業研究の
第一人者・中野晴行さん。

今回の電子書籍化にあたり、連載中の人気エントリーを
まんが誌黎明期の60年代、
爛熟期の70~80年代、
出版バブル崩壊後の90年代以降
の3つの時代に分けて再構成。

コラムの掲載スペースやタイミングの関係で
連載時には詳しく記載できなかった、まんが業界の裏話やよもやま話、
まんが産業の将来展望を中心に大幅に加筆修正。
新たなエピソードや国内外の最新市場データも多数収録しています。

ジャンプ、サンデー、マガジンなど少年コミック誌で育った20代~30代の
元まんが少年少女にはおもしろい読み物になってます。

まんが史の謎と未来がこれ1冊でまるわかり!

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目次

第1部 まんが史クロニクル

第1章  まんが王国日本はまんが誌から生まれた

『鋼の錬金術師』が繰り出すコンテンツビジネス錬金術
膨大な消費者に支えられるまんが産業

第2章  ジョー&飛雄馬とともに歩んだ高度熱血成長市場
雑誌がまんがの産業化をうながした
マガジン&サンデーが牽引したまんが雑誌のビジネスモデル
雑誌と貸本 まんがの多様性を育てた西の「トキワ荘」
『宇宙戦艦ヤマト』以降の進化
70年代オイルショックがまんが市場を変えた

第3章  まんが週刊誌がシステム化した『まんが道』
新人まんが家を探せ!!
まんが家からまんがプロダクションマネージャーへ
ボツ原稿の山から鳥山明を発掘
83年がまんが黄金期の曲がり角だった
まんが産業の進化と落とし穴

第4章  少年ジャンプという名のバブル
ドラゴンボールから始まる大長編時代
まんが出版の凋落
『週刊少年ジャンプ』600万部時代の終焉
まんがを読まない若者たち
囲い込み形ビジネスモデルの終焉を暗示する『ヤングサンデー』休刊

第2部 現代まんが市場のしくみ

第5章  まんが雑誌が消える日が来る

まんが雑誌はいらない?
不惑を迎えた『ゴルゴ13』から考えるまんが雑誌の未来
それでもマイナー雑誌が未来を担う
『バクマン。』で知る、21世紀まんが家のリアル
『AKIRA』からはじまった映像化ビジネスへの傾斜
ハリウッドが日本まんがに熱視線

第6章  アトムやバカボンが時代を超えて
「カワイイ」の経済学
赤塚キャラクター達よ永遠に
カワイイ・アトム登場
「ポケモン」ビジネスは水物か?

第7章  ローコストで世界を感動させる日本まんが
海賊版で世界に広がった日本まんが
日本の「MANGA」はお買い得!
少女まんがが日本まんがの国際化を牽引する
描き手はグローバルでも、市場はガラパゴス
海外版権ビジネスの落とし穴

第8章 進化し巨大化するコミケ市場
アマチュアが拡大したまんがの裾野
アマチュアの祭典から巨大市場コミケに
現代まんが消費者は「萌え」ているのか
WEBでアマチュア作品が世界を巡る

第3部 まんが産業の未来予想図

第9章  新しいまんがビジネスとは

まんがは文化か? 産業か?
『マンガ日本経済入門』大ヒットのシクミ
未来型まんが雑誌『コミック・ガンボ』はなぜ失敗したか
出て来い「まんが総研」
専門職としてのまんがエージェント

第10章  デジタル化で世界に広がるMANGA
250億円を突破したデジタルまんが まんがは好き!でも本はいらない!
デジタルまんがのビジネスモデル
デジタルまんが市場のゆくえ
印刷を離れればまんが表現も変わる
いつかはまんがワールドカップが?

第11章  官・学とまんが産業
ちょっときな臭い「コンテンツ産業振興法案
規制と利権でなくサポートを
「東京国際アニメフェア」から学ぶ世界標準
まんが産業の未来を大学が変えるか
まんがナショナリズムを越えて

あとがきにかえて
これからまんが産業を学ぶ人に   参考文献一覧

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電子書籍のメリット

今、手がけている電子書籍先行配信の作品編集がそろそろ終わりに近付いている。
作っていてあらためて思ったこと。
それは、電子書籍はやはり紙の書籍とは違うのだ、ということ。

ネットでは表現や文言やデザインが乏しい。
要するに、紙と違うのが嫌だという編集者が上の世代には多い。
しずおかオンラインのブログエントリー
“紙”を捨てるのに9年かかりました
に書かれていた
「出版人はウェブの機微や言語を理解していない」

の一言には激しく同意。そしてその逆もしかりなんだろう。

個人的には紙と違うからこそ電子書籍で配信する意味があるんだろうなと思う。

見かけの体裁にこだわりすぎずスピーディーに出せる。
出した後でも容易に文章を変更することもできる。
そしてなによりも物流の苦労がなく返品もなし。
そんなメリットを感じられるのは、出版社で編集作業をやっていないからかもしれない。
紙の本と同じようにすることに時間をかけるぐらいなら、
WEBでどうプロモーションするかということに時間と頭を使いたい。

要するに電子書籍とは、編集するにせよ売るにせよ、
いったん形になったあとに状況に応じて可変していくものだということ。
紙の本の場合はいったん印刷して取次に納品してしまった後に
出版サイドでやれることは案外少ない。
本が売れるかどうかの半分ぐらいは、プロモ予算と出版社ランクで決まってしまう。
なんだかんだいって一部を除く大半の本の売行きは「本の配給」ランク次第の側面が。

良くも悪くも固定するものが紙、可変できるもの電子書籍かなと思う。

できる限り素早くリリースした後に、局面に応じて柔軟に可変していきたいと思う今日この頃。

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オンラインデジタル図書館「Europeana」 スタート。。

googleによる全世界の書物総電子書籍化計画に対抗すべく、欧州委員会が開発したオンラインデジタル図書館「Europeana」が11月20日についにスタート。


EU参加国27カ国が提供する、200万以上の書籍、地図、記録、写真、文書、絵画、映画などのデジタル版を無料閲覧でき、EU圏内のすべての言語に対応しているという鳴り物入りのビッグプロジェクト。

と思いきや、公開直後にアクセスが殺到しすぎていきなりクラッシュしたそうな。


いまだに再開されず、12月中旬まで見ることができないらしい。。

オープン直後にいきなり1ヶ月休業なんていったいどんな図書館なんだよ!
っちゅう世界中の突っ込みが入ってるはずw

google vs ヨーロッパ連合 によるCultureWar勃発なんて騒がれてたのにあっけなく勝負がついた感じ。

しかし、200万冊とは言わないから、のぞき見ぐらいできないものかなぁと。

まぁ、来年を気長に待ちましょう。

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世界対応の日本漫画カタログ The Great Catalog of Manga

本日、ついに日本の出版文化の世界への窓が開通!

今春に構築した漫画大目録システムをベースにした、多言語対応漫画カタログ

The Great Catalog of Manga』をリリースできた。

日本の名作漫画2万冊の詳細サマリーにくわえ、国境を超えて無料立ち読みもできるWEBならではのカタログです。

日本の名作漫画レビューや漫画史・漫画産業についてのコラムも連載中。

梅田望夫さんのブログエントリー(「日本語が亡びるとき」の書評)にもある通り、
今世紀が「英語の世紀」になっていく中で、
日本語で書かれている出版物の存在とその多様性を世界にPRできるといいなと。

将来的には、30周年を迎えた現代マンガ図書館のような、世界のMANGAファンにとってのネット上のMANGAライブラリーとなっていくことを期待。

まずはその土台となる日本語・英語版の翻訳精度をあげることで、今後の他言語版もどんどん良くなっていくはず。

中国語版 ・フランス語版 ・ドイツ語版 ・ポルトガル語版 ・韓国語版 ・イタリア語版サービスの充実によって、世界中の読者に日本の漫画文化が届けばよいなと。

しかし、スタート地点ともいえるここまで来るのには長くかかった。

すでに00年代初頭の黎明期を過ぎた電子書籍市場。
電子コミックは、旬の話題作ではなくても読者ニーズはある。
旧作や絶版作品でも工夫次第ではまだまだ売れるということを数字で示せたせいか、
ここ数年、新規参入企業が増えたきた。
そして市場規模も拡大。

その反面、ある種の販促モデルやチャネルを作ってしまったあとは、
他社をマネをするだけの企業、予算にまかせ量的拡大を志向するだけの企業、
雑誌の補てんとしかとらえていない出版社も増えた。

市場拡大のために走り続けるうちに気づくと、
かつての出版市場とルーティンワークの繰り返しのような
つまらない市場になりつつあった。

ネットやケータイに食われてなるものか、とかたくなに思いこむ旧世代の出版人からは
「電子書籍は何も新しいことを生んでいないし、過去の遺産に依存している」
と言われたことも。

しかし、そんな話も今日で終わり。
電子書籍は、単なる著作権2次利用ビジネスではないことをこれで証明できると思う。

鎖国的国内市場の限られたパイを奪い合う時代にようやくピリオドを打てたような気が。
あとはいろんな企業のいろんな方々が後を続いてくれることを祈るばかり。

このカタログの見せかけは地味だけど、可能性は大きい。

漫画だけではない。
日本の、多様な出版文化を伝えるプラットフォームの種はもうここにあるといいたい。

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出版は森を滅ぼす? 出版とエコの関係

仕事で紙の消費量について調べていたところ、意外なことを知った。

日本の紙の生産量(=消費量)は世界全体のほぼ1割を占めてるそうな。
紙の原料となる木材チップの輸入量は、なんと世界貿易全体の70%を占める。

理由としては、森林資源が少ないためほとんどを輸入に頼ってるから。
南アフリカやオーストラリアなど南半球の国の森林の多くが日本で消費される。
アメリカについで二番目の紙の浪費大国だという日本。

その紙生産のために、年間で約1億1000万本もの樹木が伐採されてるんだと。
日本人1人あたり平均で年間A4用紙130枚分を使うという結果。
中国人の8倍、インド人の60倍を消費してるそうな。
個人的にも、仕事の資料などでそれよりはるかに使っていそう。

仮に中国の人が日本人と同じペースで紙を使ったら世界は滅びるそうな。
しかし、個人による消費よりも、本や新聞など企業法人による印刷情報用紙消費がはるかに多く、紙の総消費量の過半数を占めるのだと。
日本は出版大国、新聞大国やらと悦に入ってる場合ではない。

このブログなんかも、仮に紙に書いてたら年間で100枚以上は消費してたはず。そんな意味では、ブログやら電子書籍はちょいエコなのかもしれんなと自己満足。

しかし、紙の浪費を少なくするための個人の努力はたかがしれてる。
せめて、無駄にコピーしないようにするとか印刷時に両面を使うとか。
恋文や辞表も手紙ではなく、「@LOVE」「@GOODBY」と携帯メールで済ますとかw

エコカーやらをはじめとする個人に対するエコ意識向上の訴えは、全体でみるとじつはあまり効果がない。
問題は政府や企業の取り組みなんだと。
たしかに、広辞苑やらカタログ誌の無意味な分厚さとかいったい誰が読むんだよという立派な企業概要資料とか役所の資料とか、ふしぎに思うことはしばし。

個人も企業も、まずは貧乏性であることが森を救うということかなと。

ここにも詳しくのってます。

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編集者の魂はどこへいくのか

編集者という病い 編集者という病い

著者:見城 徹
販売元:太田出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

幻冬舎の社長というか「魂の編集者」見城徹さんが書いた本。

見城さんが、
「人生の総決算」ちゅうある意味おおげさな言葉を使って書いただけあって、
さすがにど迫力の1冊。
壮絶稀有な編集者としての濃い生き様が描かれていた。

同世代の編集者たちが、作品の黒子としてのエージェント的な作業に淡々と徹する編集者であろうとするいま、このひとはある意味、激しくマッチョな大時代がかった古典的編集者の最後の生き残りともいえる。

このひとが出版業界で成し遂げたことについて賛否両論あることも事実。
よい意味では革新的ともいえるけど、
その確信犯的なゲリラ活動で、現場に大変なパニックをもたらしたこともしばしば。

ただ、このひとのような狂気と紙一重の情熱がないと、ルーティンワーク化したこの業界が活性化しないような気もする。
冷めたピザ化しつつある同世代の編集者にはぜひ一読してほしいなと。

ただし、もうこのひとが駆け抜けた時代とは違うし、
同じようなことをやってもただの2番煎じ。

同世代の編集者の愚痴でよく聞くのは、
上の世代の編集者たちがほとんどのジャンルを開拓しきってしまって、
もうやるべき新しいことが残っていないということ。
残されたしごとは作業の合理化やらコスト削減やらの縮小再生産の作業なのだと。

たしかに、この本を読む限り、上の世代のひとたちは長い時間をかけて、そうとう深く濃い穴をたくさんほってしまっているなと。

もう開拓すべきフロンティアはほとんど残っていないなら、限られたパイの奪い合いをしてもしょうがない。

深く掘りさげるタテの突進力ではなく、
いかに多彩なオプション攻撃をヨコ展開するかがいまの編集者に残された唯一の道かなと。

このひとみたいな生き方がなかなかできない以上、まったく異なる方法論が必要なんじゃないかと思わせられた1冊。

そして、電子書籍という新しいツールが古き良き編集者魂をよびおこし、古い世界ではもうできないチャレンジの場として機能することができるかはこれからの課題だなと。

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メディアのしくみ

いろんなブログに書評が書かれていて以前から気になっていた、マスメディア&ネットメディアマーケティングの未来像をその本質的な仕組み分析をもとに占った本『グーグルに勝つ広告モデル』を読む。
グーグルに勝つ広告モデル (光文社新書 349)

著者:岡本一郎

グーグルに勝つ広告モデル (光文社新書 349)



タイトルが本書の本質的なテーマにマッチしていないような気がするけれど、書かれていることはロジックが極めて明解。 なるほど評判になるわけだと。
本の内容はR30マーケティング社会時評ブログに詳しい。



本書オリジナルの目新しい発見はそんなにないかも。
ただし、以下の説明は事例やデータを交えた形で特にわかりやすかった。

・マスメディアビジネスの本質は「注目=アテンションの卸売業」
・メディア/コンテンツビジネスは過去の遺産(ストック)と競合する


倒れかけたレガシーシステム=マスメディアとgoogleに代表される新興かつ信頼性に欠けがちなネットメディアとの戦いという古い図式から、この本を読んで脱却するマスコミ人も結構いるんじゃないかなと。

電子書籍という市場の中で両者の中間のような仕事をしつつ思うのは、既存4媒体の良さもあるしネットメディアの良さもあるなぁということ。
もちろん、それぞれのデメリットも。

勝つも負けるもなくて、googleはすでに社会インフラのようなもの。
肯定も否定もなくて、新しい枠組み(プラットフォーム)とコンテンツの両方をただ進化させていくのみなのかなと。

しかし、読んで頭ではわかったものの、実際にやるのはむつかしい。
右脳寄りのコンテンツ脳と左脳寄りのプラットフォーム開発脳は違うものだからね。
少ない脳みそを片方ずつフル回転させると、膨大な情報が脳みそからあふれてしまうよと。
そして、本書で引用されていたマキャヴェリの言葉も印象深い。

「新しい秩序を打ち立てるということくらい難しい営みはないということをしっかりと頭に入れておかなければならない。なぜならその責任を負う人物は、現体制でおいしい思いをしている人をすべて敵に回す一方で、新体制で甘い汁を吸うことになる人からは手ぬるい支援しか得られないからである。」
マキャヴェリ『君主論』

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